開発協力経験と福祉機器開発への要望
My experience and requests for the development of assistive technology.

有限会社 セカンドステージ 麸澤 孝 

キーワード:障害当事者、頸髄損傷、四肢麻痺、開発協力、

1.現在の生活と福祉機器

1983年に交通事故で第4頸髄完全損傷による四肢麻痺の障害を持つ。リハビリテーション病院に8年間入院後、身体障害者療護施設に入居する。その後1997年に都内で地域生活を始め、電動車いす・ベッド・天井走行式リフターなどを日常生活に取り入れ、現在では福祉機器は無くてはならない生活の一部になっている。

10数年程前より、福祉機器開発のモニター・アドバイザーやリハビリテーション工学カンファレンスでの発表、学校や企業での講演も行っている。


    【現在使用している福祉機器】

  ・リクライニング電動車いす

 ・天井走行式リフター

 ・リクライニング電動ベッド

 ・褥瘡予防エアーマット

 ・電動ページめくり機

 ・マウススティック?



















2.マイスプーン(食事支援ロボット)

1994年〜モニターの依頼を受ける。

 年6回〜7回のモニター。当時は身体障害者療護施設に入居中であり、開発者の方が訪問されて試作機を試してみる。モニターを繰り返す度に使いやすく、食べやすくなるのを実感する。

2002年4月 マイスプーン発売。新聞・雑誌の取材、テレビ・販売促進ビデオ出演、パンフレット撮影など協力する。反響の多さに本当に驚く。

2003年4月 国際リハビリテーションロボット会議(ICORR 2003)韓国・テジョンに招待される。テレビ出演・新聞取材などを受ける。

写真1 マイスプーン

写真2 マイスプーン(試作機)

3.ライフタクト(音声認識環境制御装置)

2000年 頸髄損傷者数人と開発者と音声認識による環境制御装置の発売を目標にプロジェクトを立ち上げる。

年7回〜8回会議やメーリングリスト等で意見を出しながら進める。頸髄損傷者等の環境制御装置のニーズ調査から始め、「どんな機能が必要か?」「使ってみてどうか?」「デザインは?」「音声の認識性能は?」などメンバーが意見を出し合い、仮作成してみる。何度も修正や改造の繰り返し後、2002年に発売開始。

その後も販売促進の為のホームページの作成に協力する。

当事者団体・東京頸髄損傷者連絡会と協力してライフタクトについての勉強会も開催して宣伝・販売に協力する。                                     




写真3 ライフタクト

4.当事者の生の声と開発協力

障害を持って20数年がたつが福祉機器の多様化、高性能化、小型化、低価格化には本当に目を見張るものがあり、当事者にとっても生活の質の向上に貢献している。しかし一部には、当事者の意見が反映されているのか微妙な福祉機器もあることも確かである。

これからは個別のニーズに合致した福祉機器の開発に、当事者本人の生の声は必要不可欠なものになっており、一層の当事者協力が求められる。それには当事者の福祉機器についての知識向上やリハビリテーション工学カンファレンス等の参加、開発者・エンジニアとの橋渡しが出来る当事者エキスパートの存在も重要であり、何より私達当事者側からの積極的な福祉機器開発への参画が大切である。

5.福祉機器開発の要望

昨今の様々な技術の進歩は著しいものがありこのような先端技術を盛り込み、当事者のニーズにあった福祉機器の開発に力を注いでいただきたいのはもちろんだが、市場が小さいことや社会制度上の複雑な問題など障害があるのも事実である。

色々な企業の福祉機器分野への参入や、何より私達当事者の声を全面的に取り入れ、開発設計段階から当事者本人がたずさわる事が大切であり、当事者の生活やニーズをよりリアルに想像・表現できるか?も問われている。

6.最後に

マイスプーン・ライフタクトの開発に協力してきたが、本当に多くの物を得ることが出来た。福祉機器についての知識はもちろんだが、多くの開発者・関係者の方と知り合い、協力して福祉機器を創り上げ、障害を持つ仲間の生活の向上につながったことも嬉しく思う。そしてそれらが私自身のこれからの生活の自信につながったとものと確信している。

これからも福祉機器の開発に協力し、より重度な障害を持つ仲間の為に役立つよう努力していきたい。