頸髄損傷とは?

頸髄損傷については、松井先生の著書「頸髄損傷−自立を支えるケア・システム」(医学書院)の中で詳しく説明されています。以下、その中から引用させていただきます。

頸髄損傷とは、脊髄損傷の一種である。 (「頸髄損傷」序X)

頸髄とは、正式な医学用語ではない。「脊髄の頚部」の略語であるという。(序])

脊髄の頸部が頸髄です

参照:「頸髄損傷」p.28.


日本パラプレジア医学会の調査によれば、1990年から1992年までの3年間に、日本国内で発生した外傷性脊髄損傷は9752件、うち75%は頸髄損傷である。

(p.2.)

日本の脊髄損傷者の全国組織、全国脊髄損傷者連合会(全脊連)は労働災害による被災者が中心となって結成した団体である・・・・・(中略)・・・・・その労働災害も日本パラプレジア医学会の調査によれば、9752件中18.4%(1797件)、全体の2割弱、労働災害の比重は著しく低下した。では、何が増加してきたのか。全体の43.7%(4263件)で、最も多いのは交通事故である。

(p.3.)
交通事故4263件の内訳

※グラフは本文をもとに編集部が作成


当時、脊髄損傷は労働災害が主であり、胸腰髄損傷、対麻痺の時代であった。自家用車は現在のように簡単に持てる時代ではなかった。しかし現在は、高校生でもアルバイトでバイクが買える。・・・・・(中略)・・・・・自動車やバイクが簡単に購入できるようになったばかりでなく、そのスピードも格段に増してきた。頸髄損傷はスピード社会の副産物ともいう。
(p.4.)

先進国に共通するのは、脊髄損傷を現代社会の災害とするアプローチである。脊髄損傷を災害ととらえることによって、社会的な対策の必要性が顕在化する。

(p.11.)

以上、「頸髄損傷」から引用させていただきました。わずか3年の間に外傷性脊髄損傷が9752件にものぼり、その75%が頸髄損傷だという現実を考えれば、頸髄損傷は、健常者とは無縁の特殊な災害ではなく、スピード社会で生活している人全てが同じリスクを負っている問題だと言えます。

                                       以上、「はがき通信」ホームページより








頸  髄  損  傷
−自立を支えるケア・システム−


松井 和子 著  医学書院 発行

 第1部では「頚髄損傷とは」と題し、頚髄損傷者の現状・身体・心、そしてセルフ・ケアやその必要性まで、とてもわかりやすく書かれてあります。

また所々に、私達が過去に書いた「はがき通信」や頚髄損傷者本人が書いた本より“生の声”が抜粋されており、私達自身による「頚髄損傷者の生活の記録」とも言え、またベンチレータ依存のC2以上の頚髄損傷者の生存、生活・ケアにも迫った初めての本ではないかと思います。

 第2部「日本の頚髄損傷」では、向坊弘道さん・高松祥二さん・可山優零さん・後藤礼治さん・佐藤哲也さん・阿部勇さんの事例が紹介され、年齢・残存機能の異なる頚髄損傷者の被災から現在の生活に至るまで、本人、家族や回りの人たちの努力が報告されています。私は特に、向坊さん、高松さん、可山さんの自立生活を興味深く読ませていただきました。

 第3部はカナダ・BC州の活躍する4人の頚髄損傷者の事例と共に、最先端と呼ばれる頚髄損傷者に対するケア・システムが報告され、現在の日本の頚髄損傷者に対するケアの基本的な違い、特にカテーテル留置者の膀胱洗浄やカテーテルの交換の回数、薬を使わず、医療ケアが非常に少ない事にも驚きました。

 この本を読み終えた頃には「厄介者」「可哀想な人」と言われる手足の麻痺した私達に対する見方、考え方が、きっと変わることと思います。


 この本から言葉を借りれば“向坊さんは、日本一の頚損”である。そして「はがき通信」を通じて私達頚髄損傷者に情報提供はもちろん、時に優しく時に厳しく、生きる勇気を与えてくれた、松井和子先生を“日本の頚損の母”と称すると共に、このような本をまとめてくださった先生に「はがき通信」メンバーを代表し、心より感謝し、これからも末永くご指導いただきたいと思います。

 問い合わせ  医学書院:TEL 03−3817−5600